poco a poco

新潟市西区にある坂場ピアノ教室のブログです。poco a poco(ポコ ア ポコ 少しずつ)自分のペースで音楽を楽しむ毎日を。

「今の演奏、どうだった?」

新潟市、今日は今季初のまとまった雪が降りましたね。
例年よりもかなり早い積雪です。
交通渋滞や除雪作業で大変だった方も多いと思います。お疲れ様です。

f:id:TakakoSakaba:20171206175011j:image

雪かきをしていて、小さい秋が閉じ込められているのを見つけました。


さて、坂場ピアノ教室では、発表会やコンクールが近くなったら、レッスンの最初に1回通しで弾いてもらいます。
そのあと、今の演奏の「良かったところ」「直した方がいいと思う場所」を生徒さんに言ってもらいます。


実は、これは大学時代の恩師の真似をしたもの。
レッスンでは通しで弾いたあとに「どうだった?」と自分の演奏の感想を聞かれるのが日常でした。


大学を卒業してからピアノ講師の仕事を始め、先生が「どうだった?」と聴くことがとてつもなく大事なことだったと気がつきました。
今回はそれをまとめてみます。


自分の演奏の感想を言葉にして伝えるというのは、生徒さんの力を育てることに繋がっています。
なぜなら、自分の演奏をきちんと聴き、吟味しなければならないからです。
ぼんやり弾いたり、一生懸命になりすぎて客観的に自分の演奏が聴けず、ただ弾いてしまうというのはよくあることです。


でも、演奏のあとに先生からどうだったか聞かれるのがわかっていたら、よく演奏を聴いて弾くようになりますよね。
意識的に自分の演奏を聴くことは、他の人の演奏を聴く力にも繋がり、それは生徒さんの耳を育てることにもなります。


また、演奏は自分で考え、課題を見つけて練習して磨きをかけていくもの。
先生に言われたことをただそのまま弾くだけでは、その人らしさがなくなってしまうんですね。
私は、少々時間がかかっても生徒さん自身の言葉で感想を言ってもらいます。
生徒さん皆、頭をひねってうんうんと考えますよ。
自ら考える力というのはとても大事なのです。

f:id:TakakoSakaba:20171206175149j:image

また、「良かったところ」を探すことも大切にしています。

「良かった場所なんかない」という生徒さんがよくいるのですが、良い場所のない演奏はないんですよね。
良い場所のない人なんていないのと一緒で、どんなに失敗してしまった演奏でも良かった場所は必ずあります。
良い点を探すということは、演奏のみならず生きる上でも必要なことなんじゃないかなと思っています。


多くの生徒さんに演奏の感想を言ってもらっていると、時折、私の感想を当てに来る生徒さんがいます。
要するに、「答え合わせ」をしようとしているんですね。

 

そういった場合、感想に正しい答えはないということと、生徒さんの正直な感想を聞かせてほしいということを丁寧に伝えます。

そうするとね、面白い感想が出て来るんですよ。大人では考えもつかないような視点が出てきてはっとさせられます。


大人の考えることを先回りして予測しようとする生徒さんは、とても素直ないいお子さんが多いです。
優等生タイプの子ですね。
でも、私は正解を生徒さんに求めているわけではありません。
だって元々音楽には正解がありませんから。
そして、感じる心や感想にも良い悪いはないということ。

のびのびと自由にいろんなことを感じてほしいということ。
それが生徒さんに伝わればいいと思っています。


それって、人生も同じことですね。
音楽と生き方には通じるものがあるなと常々感じています。


感想を聞かれた生徒さんは、最初はうまく言葉にできず「なんかあんまり良くなかった」くらいの漠然としたことしか言えなかったりします。
それでも、少しずつ続けていくと、感想が具体的になっていく。
成長に伴って語彙も増えていきます。
その問いと感想を1人の練習でもできるようになった生徒さんは、ぐんぐん伸びていきます。


いつか私のところを卒業したあとも、そうやって音楽を問い、自分で見つけた課題を練習し、何よりも楽しんで演奏してくれたらいいなと思っています。