poco a poco

新潟市西区にある坂場ピアノ教室のブログです。poco a poco(ポコ ア ポコ 少しずつ)自分のペースで音楽を楽しむ毎日を。

読譜の力

ここのところ、耳が良くて耳コピで曲を弾けてしまうので、教材はどんどん進むけれど楽譜をきちんと読めないというお子さんのお話を立て続けに聞く機会がありました。

特に、お子さんの年齢が小さいうちは、楽譜を読むよりも音を聴いたり演奏するということに重点が置かれがちなので、弾けているのに音が読めないということはよく起こりがちなんですね。

坂場ピアノ教室では4歳から生徒さんを受け入れていますが、何歳の方でも、最初から音を読むということに力を入れています。

これは私の苦い経験から来ています。

ピアノ講師を始めたばかりの頃に、耳が良くて簡単な曲なら一度聴いたら弾ける、という生徒さんがいました。
ピアノを始めたばかりの生徒さんは最初からすらすらと楽譜を読めるわけではないので、時間をかけて音符を読むよりも、さっと耳コピして弾くという楽な方向に流れることが多いです。
表面上は弾けているので、課題の曲にはどんどん丸が付きますし、教材も進んでいきます。
また、講師である私も、生徒さんに根気強く音符を読ませて面倒くさがられるよりも、耳で覚えさせた方がレッスンがスムーズに進むので、そのやり方でレッスンを続けていました。
今思えば、「耳を育てる」という面に甘えすぎてしまっていました。

その後どうなったか。
音符の数が増え、耳コピで覚えることができなくなったその生徒さんは、音が読めないために課題の曲をなかなか進めることができず、ついにはピアノをやめてしまいました。


ピアノの場合、音符が読めないということは、いくら耳が良くてもいずれ限界が来るのだということを痛感しました。
(どんなに難しい曲でも全部耳で覚えてしまう天才の逸話がよく語られますが、それは本当に例外のお話です)


どのくらいですらすら音を読めるようになるかということは、生徒さんの年齢や練習量によってもかなり差がありますが、私の教室では平均で2年ほどかかる生徒さんが多いです(子供の場合です。大人はもっと早いケースが多いです)。
その間、五線譜のノートを使ったり、音符カードを使ったり、新しい課題の曲を出す時にはその場で音を読んでもらったりと、とにかくじっくり時間をかけて生徒さんに音符を読めるようになってもらいます。
また、保護者の方には、ご自宅の練習でお子さんに安易に音を教えてしまわないようにご協力いただいています。
(音を読むのに時間がかかってしまうので、隣にいるとじれったくなって教えちゃうのもよくわかります^^;)

音を読むのに時間がかかってもかまわないと生徒さんに伝えること、そして、音を読む練習を楽しくできるように工夫することも大切にしています。

ピアノを始めた時期にどれだけしっかりと読譜の力をつけられるかがとても重要なんですね。

急がずに、こつこつ音符を読むことを繰り返していけば、必ず楽譜は読めるようになりますよ。