先日、直木賞受賞作品の「蜜蜂と遠雷」著・恩田陸 幻冬舎 を読みました。
3年に1度開催される国際ピアノコンクールを舞台にした青春群像劇です。
508ページという大ボリュームで、しかも2段組でしたが、とにかく面白く、素晴らしく、幸せな読書体験でした。読み終えるのがもったいなかったくらいです。
音楽をどのように言葉で表すのかと思っていたら、著者の恩田陸さんの圧倒的な表現力によって、本から奔流のように音楽が勢いよく流れ出してくるようです。凄い。本当に凄いとしか言えない筆力でした。
曲を全然知らなくても問題ありません。知っていたら、あの曲をこんな風に表現するのかと楽しめますし、知らなければどんな曲なのか想像しながら楽しめます。
登場人物たちも魅力的。一人一人応援したくなります。本の中の彼らが、本当は実在していて、世界のどこかでピアノを弾いているように感じるんですよね。とってもリアル。今後の彼らの活動も追いかけていきたくなりました。
音楽の過酷な世界の中で、才能という目には見えないものを背負い向き合いながら、自分の音楽を模索していく若きコンテスタントたちに胸が熱くなります。まるで、読んでいる私が観客となって、彼らと共に2週間を過ごしたような読後感なのです。
カバーを外すと、ピアノと同じ光沢の本体が。
先日、この本をテーマにした読書会にも参加してきました。いろんな意見や感想が聞けて、とても楽しかったですよ。
クラシック音楽が好きな方はもちろん、そうでない方にもお勧めできる本です。